遺言~付言のちから~
遺言には、「Aに私の全財産を相続させる。」という、法的効力が生じる文言だけでなく、
その遺言を読む人に対するメッセージ(ex.遺言を作成した経緯、家族への想い入れ、生前に印象深かった思い出のフィードバック…etc.)を記載することができます。
それを『付言』事項といいます。
「なんだ?こっちは相続争いが起きないように必死で、流暢にそんなこと書いていられるか!」
と勘違いされている方もみえますが、実は付言をうまく活用すると紛争抑止につながることが多いです。
賢い方は、これを知って「メッセージ欄、といってもやたらと自由に書かないほうが良いのかな?」と感じられたと思いますが、(実務家目線だと)その通りです。
(もちろん、遺言は、本人の自由な意思で記されるべきものなので、想いをストレートに記載するのもありですが、ご注意を(^^;)
まず、「この遺言が、どのような作用を見越して作成されるか」、から逆算して、戦略的に内容を練る方が良いと思います。
また、本人の意思と異ならない範囲で、偏った表現になっていないか、ご家族などが読んだときに不快な思いをしないか、という点にも最大限配慮する必要があります。
私自身、「喧嘩をしない一番のコツは、相手を喧嘩させる気にさせないこと」が一番と思っております(^^;
「敢えて書く、書かないの選択」、「どこまでのことを書いて遺言全体のバランスをとるか」の判断は、なかなかご自身では難しく、相当の経験値のある専門職にご依頼した方が無難です。
人は、一度しか亡くなれませんので、その一度きりの場面への対策として、悔いのないようにご準備いただければと思います。
司法書士・法学博士 石田健悟
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